2015/04/06

実感的ものがたり:もし舞台芸術制作者志望の大学生が10人いたら

10人のうち、8人は女子で2人が男子でした。

10人のうち2人は公立のホール(財団)に新卒で就職が決まりましたが、残りの8人は就職先が見つからず、またある人は就活する気すらもともと無く、バイトをしながら、色々な現場のアシスタントとしてキャリアをスタートすることになりました。

といっても、数名は大学時代から関わっていた劇団やダンスカンパニーの制作ではあったので、一応所属はありました。が、そこから給料が出るわけもないのでバイトは欠かせないのでした。

休みが無くても、現場の給料が安くても(時にはノーギャラでも)
「自分がやりたいことを仕事に出来てるんだから幸せ。私はお金じゃない報酬を得ているんだ。」
と10人は自分に言い聞かせながら、それぞれのモチベーションで毎日ガムシャラに頑張っていました。

20代中盤になりました。
数年の実務経験を経て、バイトを掛け持ちしながらやっていた8人のうち3人は公立ホールやイベントの事務局、民間制作会社などに就職しました。1人は所属していた劇団の活動が軌道に乗りはじめました。


しかしバイトを掛け持ちしながらやっていた8人のうち残りの3人と最初に就職していた1人、計4人は
「やりたいことやれたから気が済んだ。やっぱり好きなことと、食べていくことは別だよね。転職するなら少しでも若い方がいいよね!人生早めに仕切り直さなきゃ!」
と他業種に転職・就職していきました。
1人は引き続きバイトと掛け持ちしています。

10人の中の残った6人はそれぞれの所属組織の中で、あるいはバイトと掛け持ちしながら引き続き一生懸命働きました。

20代後半、もうすぐ30歳というところになり、6人のうち3人は
「この仕事を40代、50代になっても続けられるビジョンが持てない。30代になったら転職もし辛いし、ギリギリ20代の今しかない!」
と他業種に転職していきました。

最初にいた10人のうち、まだ制作を続けているのは3人になってしまいました。

しかし朗報です、ここで1人増えました!!
学生時代、舞台芸術が大好きだったけれど他業種に新卒で就職した人です。
この人も30目前にして「どうせ働くなら少しでも好きなことをやりたい!」と他業種から転職してきたのです!
実務経験は不足していても、基本的なビジネススキルがあるのが心強い!

これで4人に増えました。

4人は揃って30代に。
現実に折り合いをつけながら毎日忙しく仕事をしています。

ここでライフイベントの登場です。結婚、出産がやってきました。
4人のうち1人は、結婚を切っ掛けに退職することにしました。

10年前、10人いた仲間は30代中盤には3人になっていました。

さて...(←イマココ)

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イマココ、っていうのは私が、です。

私も途中で他業種に一回出た人ですが、大学時代からアシスタントとして舞台芸術の制作を始めて10年経った印象としてこんな感じかなぁと。

これを検証するような公式な調査や統計などはたぶん無いんですけど、結構リアルにこんな感じじゃないかと思うんですよね...どうでしょうかね?